大学復学。生産的な時間に憧れる

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6ヶ月間のバックパッキングを終えて、結局のところ大学に復学した。

というのも、何かを実質的に生み出していないことで、日に日にもどかしさがたまり放浪を楽しめなくなっていた。生み出していないどころか、消費しかしていなかったので、財布の中身はどんどん減っていった。

 

とりわけ何かを生産していなかったとしても、そこに在ること、BE HERE NOWそれ自体を楽しみ続けられれば良かったのだが、早く次のステージ行きたい思いに駆られていた。

 

大学生に戻るということは、その先のことをある程度予測できて、自分にとってはとても生産的な行為に感じられた。

 

 

復学の手続きをし、何となく大学の掲示板を眺めていたら、海外留学のプログラムのお知らせがあった。提携している海外の大学に交換留学することができ、選抜時の評価によっては学費が免除される制度であった。ヨーロッパには3カ国ほど提携先の大学があり、ドイツの大学とも提携していた。

 

ドイツに行きたい。放浪中にドリーンからドイツのことを聞いてとても興味を持っていたし、海外留学に憧れ続けていた僕は、鼻息を荒くしてこのチャンスを掴むしかないと決意した。

 

しかし、留学するためには、履修授業の成績が影響し、さらに語学試験をパスしなければならなかったのである。

休学前まで、ひたすら悶々としていた僕は履修した授業、ほぼ全てにおいて中の下の成績であったため、絶望的な状況であった。そして、語学試験の課題であるドイツ語を何一つ知らなかった。

 

こんな状況にもかかわらず、モチベーションを維持できたのは、ドイツの大学は応募者が少ないと言うことと、放浪中にためにため込んだ何かを生み出したいと言う強烈な意思であった。

それまでの思いもしなかった、いろいろな点がつながっていて、ぼんやりとその先を形作ろうとしていた。

 

春に復学し、次の選抜試験までの1年間、履修科目をめいいっぱい増やし、ドイツ語の授業をとって、大学の図書館に篭り続けた。不安と希望の中、図書館からよく見た夕焼けを今でも思い出す。

 

学費半額免除と寮費免除という自分としてもギリギリ受け入れられるラインで合格し、ドイツの大学に留学できる事になった。

 

留学先はスイス国境のすぐ近く、ボーデンゼーの湖畔に位置するコンスタンツ大学だ。